科学論が面白い【構造主義科学論の冒険】

私が毎週欠かさず見ているフジテレビのテレビ番組「ホンマでっか!?TV」でおなじみの池田清彦さん。番組を何度も見ているうちに「この人の考え方面白いなぁ」と思い、興味は持っていましたが本を買うまでには到っていませんでした。

きっかけは、(何年も前の話なので記憶が曖昧ですが)番組内で評論家のドキュメンタリーのようなコーナーがあり、そこで池田さんは、若いときに事故に遭い死に直面したときに「本を書いておけばよかった」と思ったそうです。おそらくその後に書いた本と思われるのが『構造主義生物学とは何か 多元主義による世界解読の試み』です(確かではないですが、私が調べた限りこれが最初に出版された本)。「死に直面した後に書かれた本は面白いに決まっている」という私の偏見と、「最初に書かれた本に著者の特性が表れやすい」というどこかで見聞きしたことのある文章が理由で、この本が読んでみたいと思いました。

ただ、この本は絶版になっているためか、新品のものは売っていませんでした。出版されたのが1988年となっており、30年も前の本ということになるので仕方のないことかもしれません。

新品がないので中古をアマゾンで買って読んだわけですが、私にとってはかなりの衝撃でした。科学に対する私なりの考え方が私の頭の中にぼんやりとあったのですが、それがこの本にははっきりと示されていました。

もともと科学論や科学哲学に興味は持っていましたが、こういった本をちゃんと読んだことがなかったので、構造主義というものがどんなものなのかすら知りませんでした。ただ、私の頭の中にあったのは構造主義という考え方でした。

科学論にハマる

その後すぐに購入したのが『構造主義と進化論』です。これも新品がなかったので中古でした(今アマゾンを見たら新品がありました)。この本で最も記憶に残ったのは「科学とは不変なるもの(構造、形式、公理など)によって変なるもの(現象、出来事、個物)をコードしようとする営為である」という文章です。こんなに簡潔に表現できる言葉があったのかと、感動すら覚えました。

私がこの考え方を持つようになったのは、コンピュータプログラムでの「クラス」や「関数」「変数」の概念、あるいは数学での「関数」や「代数」などの考え方が他のものにも応用できると考えていたからです。これらは「不変なるものによって変なるものをコードする」ことにほかなりません。

その後に購入したのが、このページのタイトルにもある『構造主義科学論の冒険』です。この本の原本は1990年に出版されたようで、その文庫版が1998年に出版されています。30年近く前の本が今でも出版されていることもすごいですが、内容も古くさい感じが全然なく、「昨年書かれたものだ」と言われても不思議はないほどです。一般向けに書かれていることもあってか、非常に読みやすくわかりやすい内容になっています。

ソシュールにハマる

池田さんは、『構造主義科学論の冒険』の「学術文庫版まえがき」の中で、丸山圭三郎の『ソシュールの思想』に影響を受けたと書いています。『構造主義科学論の冒険』の中にも(丸山圭三郎流の)ソシュールの考え方は出てきますが、もっと詳しく知りたいと思い購入したのが、『ソシュールの思想』と『ソシュールを読む』という本です。『ソシュールを読む』は文庫版が出ていて安価に購入できますが、『ソシュールの思想』は『丸山圭三郎著作集 第1巻』に掲載されているものだけしかなかったのですが、これが1冊で¥4,400(税別)という価格でした。少し迷いましたが、好奇心には勝てずに購入。

先に書かれたのは『ソシュールの思想』の方でしたが、私は『ソシュールを読む』を先に読んでしまい、失敗したと思いました。『ソシュールを読む』の方は、「一般言語学講義」などの資料をもとに、ソシュールの考え方を読み解いていくものでした。一般向けというよりは研究者向けで、『ソシュールの思想』を先に読んでから読むべきものだと後で気がつきました。ただ、『ソシュールの思想』の方も、それまでのソシュール理論の解釈とはやや異なっているようで、私はそれを知らないので、話が二転三転しているように思えて少し戸惑いました。ただ、内容はかなり興味深いもので、私自身の考え方を深堀りするものだったので、購入してよかったと思いました。

再び科学論にハマる

『構造主義科学論の冒険』の最後の方に「読書案内」というページがあり、いくつかの本が紹介されていたので、これらを読んでみようと思い、初めにブラウンの『科学論序説』という本を選びました。この本は新品では売っていないようだったので中古で購入しました。めちゃめちゃおもしろかったです。「こういう本が読みたかったんだ!」という新しい自分の発見でもありました。

この他にも「読書案内」にあった、竹田青嗣『現代思想の冒険』を現在読書中です。この本の内容は、科学だけではなく社会的な思想など幅広い範囲を対象にしているので、哲学の入門書として、あるいは現代に生きる我々の思考を認識するメタ認知のための書籍として活用できると思います。

本を一冊読むと、読みたい本が次々と見つかるため、時間とお金がいくらあっても足りなくなるのが悩みです。一時は図書館なども利用していましたが、私は複数の本を並行して読む(一冊読み終えるのに時間がかかる)ため、借りられる期間が限られている図書館は合いませんでした。

話はそれましたが、哲学や思想などの本を読み進めていくとおそらく、プラトンやアリストテレスに行きつき、手を出すことになるのかも…(ラスボス?)。

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