割安成長株の探し方【ケン・フィッシャーのPSR株分析】

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フィリップ・フィッシャーの『株式で普通でない利益を得る』が、株式投資の本質的な部分が凝縮されておりとても勉強になったので、この本に影響を受けた息子ケン・フィッシャーの本も読んでみようと思いました。

本書『ケン・フィッシャーのPSR株分析』のキーワードを私なりに挙げると、「グリッチ」「PSR」そしてフィリップ・フィッシャーの「周辺情報利用法」でしょうか。

全体を通してみると、基本的にフィリップ・フィッシャーの考え方が土台になっており、その中で法則性のあるものを部分的に定型化したといった感じです。

この本で書かれていることをすべて実践しようとすることは、ほとんどの個人投資家には不可能であると思われます。以前書いた「これまで読んだ投資本の内容を私なりにまとめてみた【防衛的投資家編】」のページでも触れましたが、投資を一つの事業として捉えるほどの時間と意欲と知識がなければできないので、この本は「積極的投資家」に向けた本です。

スーパー株式

本書の内容は、著者が「スーパー株式」と呼んでいる成長株を探すことです。このスーパー株式の最低条件は、原資産を5年で少なくとも3倍にすることとなっています。これを達成するには、ベンジャミン・グレアムが用いたような収益を基に株を買ったり、資産価値を基に買うような方法では不可能です。著者は株式という観点で考えないで「ビジネスを買う」という考え方が必要であると述べています。

これを象徴しているのが『収益は結果であり、原因ではない。収益をもたらす「原因」こそが、まさに株価が動きだす「原因」なのだ』という言葉です。

グリッチ(問題)

毎年急速に成長している会社でも、紆余曲折やグリッチ(問題)にぶつかることは珍しいことではありません。こうした失敗や間違いから学ぶことで会社は進化していきます。

会社がグリッチに見舞われている場合、売上が伸び悩み利益が減少することがあると言います。これは、売上を増やそうとコストが増加することや、問題を乗り越えるために資金をつぎ込まなければならないこと、資産の圧縮が必要かもしれないことなどが理由として考えられるとしています。

こうしたグリッチが起こると株価が急落することがありますが、グリッチが解消されると売上や利益は急速に上昇し、株価も急速に上昇します。つまり、グリッチ後の株価が回復する前に株式を買っておけば、驚くべきリターンが得られるわけです。

ただ、グリッチが解消されるかどうかは、その会社あるいは経営陣が優秀であるかどうかが重要になるため、それを見極めるために「周辺情報利用法」が必要になるというわけです。

PSR(株価売上倍率)

著者は、尋常ではないリターンを上げた買いのほとんどが、損失を出しているかPER(株価収益率)が意味をなさない会社に投資したときだったと述べています。

株式の評価方法として「PSR(株価売上倍率)」「実質的および潜在的な利益率」「PRR(株価研究費倍率)」という観点から株価判定をしており、これらが本書の主要な部分となっています。特にPSRは、1.5倍を超えるものは避け、3倍を超えるものは何があっても買ってはいけないとし、0.75倍以下のスーパー企業を積極的に探すべきであるとして、数値によって明確化しています。

その他

PSRを用いたバリュエーション分析だけではなく、ファンダメンタル分析についても述べられています。「競争を避けること」や「不公平なほどの優位性」「マーケティングの重要性」などは経営学的な視点です。

また、株式市場の方向性に関する議論が多すぎるとして、株式市場全体の予測をしても当たらないので、事業の予測に集中すべきであるとも述べています。

本書の最後には結論として以下の内容が書かれています。

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