データで見る成長株投資【10倍株・100倍株の探し方】

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「また四季報を買おうかな」と思ったときに目に入ったのが『四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』という本。

先月読んだ『”普通の人”だから勝てる エナフン流株式投資術』に「四季報を読破する」ということが書かれていましたが、この著者も20年以上四季報を読破し続けてきた人らしいです。また、この著者も『ピーター・リンチの株で勝つ』の著者であるピーター・リンチに影響を受けているようです。

四季報を読み込み続けることは、よっぽど好きな人でない限り難しいと思いますが、この本は四季報をすべて読まなくても10倍株を見つけられるノウハウが載っています。本当は全部読んだほうが良いのだと思いますが…。

10倍株探しの4つのポイント

本書の核となっているポイントは以下の4つです。

具体的な数値として、増収率は年20%以上、営業利益率は10%以上となっています。

これらは著者の経験や過去のデータをもとに導き出された10倍株候補の目安となるポイントです。つまり急成長する株の見つけ方なので、10年や20年も持ち続けるような銘柄とは異なるかも知れません。

株価が10倍になるかどうか時価総額で考える

本書が書かれた当時の時価総額で考えると、NTTの株価が10倍になることは、時価総額でアメリカのアップルを超えることになるようです。その可能性はゼロではありませんが、現実的に考えて数年でこれが実現するとは考えにくいでしょう。

基本的に売上が大きくなればなるほど、高い成長率を維持するのは困難になっていきます。したがって「10倍株探しの4つのポイント」のひとつである「成長性を示す増収率が高い」には当てはまりません。なので、10倍や100倍となるような株を探す場合は、時価総額の大きい大型株は除外されます。

PSR、PER、PBRの高さは気にしない

これらの指標だけで購入すべきでないとか、これらの指標だけで割高か割安を判断すべきでない、といったことはかなり昔に書かれた本にも載っています。最近の本にもこのことが書かれているということは、信憑性が高いというか成功した人たちから見れば当たり前のことなのかも知れません。

ではなぜこうした指標だけで判断しようとする人がいるのかと言えば、簡単でわかりやすいからだと思います。四季報にも載っていますし、ネットで調べてもすぐに出てきます。要するに時間のかかるような面倒なことをしたくないからです(本人が意識しているかどうかに関わらず)。

話が少しそれましたが、これらの指標を気にしなくていいというのは、本書を見る限り、成長株に限定して過去のデータを調べた場合にそうなっているということです。

これは私なりの解釈ですが、こうした指標は前期の実績値かあるいは今期の予測値を用いて算出しているため、3年後や5年後の業績を考える上では何の参考にもならないわけです。増収率とか営業利益率は業績の方向性が見えますが、PERとかPBRだけだと何の方向性も含まれていません。なので、3年後や5年後を考えたときに現在の株価が割安か割高かをPERやPBRだけで判断することは不可能だと言えます。

成長率と合わせて考えれば、現在の株価で将来のPERやPBRがいくつになるのかを予測することは割安割高の判断基準のひとつにはなります。ただ、急成長株の場合は成長率のバラツキが大きくなると思うので、あくまでも予測です。

何十年ぶりの最高益

「過去最高益を出した時期をはさんで前後1年に株価も高値をつけるケースが非常に多い」(Kindle 位置No.597)

業績と株価がある程度連動するということを考えれば、ごく単純な帰結です。ただ、高値を更新したあと大暴落というケースもあるので、業績だけではなく外部環境も見ないとリスクが高いように思います。

感想

「10倍株探しの4つのポイント」は数値化されているのでわかりやすいし、誰でも使えるし、説得力もあります。ただ、この4つのポイントをすべてクリアしているのに、株価が10倍にならなかった株がどれくらいあるんだろうと考えると、この方法に少し疑問もあります。

著者が実際にそういう方法をとっているのかはわかりませんが、事業内容や外部環境を考えないでデータのみで判断する方法は、主観や感情的な部分が入り込まないので、ある意味合っているのかもしれません。このあたりはピーター・リンチの方法とは明らかに異なっているように思いますが…。

ピーター・リンチの方法と同じように、どの株を調べればよいかという出発点としてであったり、複数ある判断基準のひとつとして利用するのが無難かなと思います。

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