これまで読んだ投資本の内容を私なりにまとめてみた【防衛的投資家編】

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ここ半年くらいで7冊の投資本を読んできましたが、それぞれ考え方は違うものの概ね一致している部分も多かったので、私なりにまとめてみました。あくまでも個人的な見解です。

なお、このページでは株式(投資信託を含む)の長期投資が前提で、いわゆる投機やトレードは含まれていませんのでご注意を…。また、資産を増やすことを目的としているので、「経済に興味を持ちたい」「趣味や娯楽として楽しみたい」など他の目的がある場合には、以下の内容を当てはめることは適切ではないので、その点もご注意ください。

十分な分析時間がとれないなら、インデックスファンドに限るべき

その企業について十分な分析もなしに株式を売買することは、グレアムの定義では投機的行動となります。言い方を変えれば、分析する時間や意欲がないのなら投資を行うべきではないし、それは投資ですらないということです。

どれくらいの時間が必要になるかについては、投資方針によって異なり、グレアムは防衛的な立場と積極的な立場に分けています。積極的投資家の場合はひとつの事業として考えるほどの知識が必要になるとしているので、一般的に考えれば、ほぼ毎日8時間以上が必要になると考えられます。もちろん知識が増えてくればこの時間も短くなるでしょうが、少なくとも最初のうちはそれぐらい必要になると思います。

一方で防衛的投資家の場合は2つの選択肢があるとしており、ひとつは「ダウ平均採用銘柄(あるいはそれに類した銘柄)からなるポートフォリオを構築する」つまりインデックスファンドです。もうひとつは「計量的な基準で選んだ銘柄のポートフォリオを構築する」ことです。2つ目の「計量的な基準」をここでひとつひとつ見ていくことはしませんが、ざっくり言えば「健全な大企業」となるので、基本的には成長株は含まれません(『新 賢明なる投資家 下』P119-120)。

多くの投資家は、この積極的な立場と消極的な立場の中間に自分を位置付けたがるが、そのような考え方では達成感よりも失望を味わうばかりであるとグレアムは言います。大多数の投資家は防衛的な態度をとるべきであり、その防衛的なポートフォリオから得られる収益で満足すべきであるとも言っています(『新 賢明なる投資家 上』P303)。防衛的なポートフォリオから得られる収益とは、上述の基準を見れば市場平均に近いものになると考えられます。

私が読んだ投資本の中で、上述したような投資家の態度について多くのページを割いているのは『賢明なる投資家』だけだったと思います(少なくとも私の記憶にはないです)。それぞれの本の内容を見る限り、それらを忠実に実行しようとすると非常に多くの時間が必要になることから、当たり前のこととして省かれているのだと考えられますが、株式投資について学んでいく上でかなり重要な部分ではないかと思います。省かれているということは、それが積極的投資家に向けたものなのか、それとも防衛的投資家に向けたものなのかを、読む側が判断しなければならないからです。

私がこれまでに読んだ本の中で『賢明なる投資家』を除けば、防衛的投資家に向けた本は『インデックス投資は勝者のゲーム』だけだと思います。

インデックスファンドとアクティブファンド

アクティブファンドの目的をざっくりと表現すれば、市場平均(インデックスファンド)に対してリターンで上回ることだと言えます。ただ、市場平均を上回るファンドがあれば当然下回るファンドも出てきます。これは、市場平均を上回るリターンをあげるために、あえて保有する株にある種の偏りを生じさせているためです。これらは、すべての投資家がアクティブファンドであり、その損益を足し合わせれば市場全体の損益と同じになるということが前提ですが、おそらく現実においても近い値にはなるでしょう。

投資信託についての詳しい説明はここではしませんが、主なコストとして購入手数料と信託報酬がかかります。昔と比べると、購入手数料については金額が低く設定されていたり、ノーロードと呼ばれる手数料がかからないものもたくさんあるのでここでは省きます。アクティブファンドとインデックスファンドでコストで大きく違う点は信託報酬で、これはファンドによって違いはありますが、大雑把に捉えるとアクティブファンドの信託報酬はインデックスファンドの数倍で、ものによっては10倍以上になる場合もあります。

上述したとおり、アクティブファンドは市場平均を上回るものもあれば下回るものも出てくるはずです。つまりどのファンドを選ぶか判断が必要になるわけです。

これは個人的な意見ですが、防衛的投資家が計量的な基準で個別株を選択するより、どのアクティブファンドに投資するかを選択するほうが難しいのではないかと思います。私を含めた初心者の人は、おそらく過去の運用実績や投資方針などを見て選ぶことになると思いますが、運用期間の長いファンドを見るとどれも悪くなさそうに見えます。それもそのはず。運用実績の悪いファンドは解散して、良いファンドだけが残っているからです。残っているファンドのすべてが今後の中でも市場平均を上回るというのは原理的には考えにくいので何らかの選択基準が必要になりますが、防衛的投資家にはハードルが高いものとなります。運用期間の短いファンドならなおさらです。

「インデックスファンドとアクティブファンドはどちらが良いのか」という議論は、最終的には個人がどれだけリスクを取れるのかということになると思いますが、これは「安定した大型株に投資すべきか、それとも成長が期待できる中小型株に投資すべきか」という議論と似ている気がします。「大多数の投資家は防衛的な態度をとるべきである」というグレアムの言葉に従うのならば、結論を出すのは簡単ですが…。

ドルコスト平均法(おまけ)

私が読んだ本の中のいくつかにも、この「ドルコスト平均法」はチョコチョコと出てきましたが、詳しく書かれているものはありませんでした。私自身は「ドルコスト平均法」という名前は知りませんでしたが、考え方やその利点はなぜか知っていました(何かで読んだのだと思いますが覚えていません)。

難しそうな名前ですが、一言で言えば積立投資のことです。例えば、毎月1万円を同じインデックスファンドに投資するなど、一定の金額を特定の株やファンドに定期的に投資する方法です。

多くの場合、株価が低いときに買い、高いときには買わないというのが理想ですが、この高い低いというのは後から振り返ってみなければわからないという問題があります。この問題を避けて理想にできるだけ近づけ、なおかつ買うタイミングを考える手間を省ける方法がドルコスト平均法です。一回に投資する金額が決まっているので、株価が低いときにはたくさん買いつけることができ、高いときには少ない数を買いつけることになるわけです。

ドルコスト平均法と最初に全額一括して買いつける方法を使って、実際にエクセルでいくつかのパターンを試してみましたが、多くの場合でドルコスト平均法の方が最終的な利益が高くなりました(投資金額は同じで、配当金による利益は含めていません)。

では、ドルコスト平均法の方が利益が低くなるのはどんなときなのかを考えてみると、最初に買いつけたときの株価よりも高い株価ですべての期間推移している場合が挙げられます。これは極端な例で、実際にはもう少し条件はゆるくなりますが、イメージとしてはそんな感じです。

現実を見るとリーマンショック直後から現在までがそのような相場になっています。ただし、リーマンショックのときのような下げがあるまで投資しないというのは現実的ではありませんし、実際にそれに近い暴落があったとしても、そのような状況で投資できる人が少ないということはその後の株価を見れば明らかです。これは、他に投資したほうが効率が良いという機会損失的な考え方をする人も少なくないとは思いますが、多くの場合は「もっと下がるのではないか」「他の人が買っていないからやめておこう」という不安感から動けなくなっているからだと思います。

分析するのが面倒だと感じる防衛的投資家は、中途半端な分析をして時間をつぶすよりも、余計なことは考えないで積立投資をして、空いた時間で他のことをしたほうが有意義なのではないかと個人的には思いました。

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