注意をコントロールして DEEP WORK【大事なことに集中する】

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集中力に関する本はアマゾンで検索するとたくさん出てくるので、私もいくつか読んできました。食事とか睡眠とか疲労回復とか瞑想とか様々なアプローチがありますが、この『大事なことに集中する』という本は、集中して作業することが生産性を高める上でどれだけ重要であるかと、注意をそらすものをどう取り除くのかなどが書かれています。

「ディープ・ワーク」と「シャロー・ワーク」

本書では、集中した状態でなされる作業と集中しなくてもできるような作業を「ディープ・ワーク」と「シャロー・ワーク」という用語で分けています。

ディープ・ワーク:あなたの認識能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態でなされる職業上の活動。こうした努力は、新たな価値を生み、スキルを向上させ、容易に真似ることができない。

カル・ニューポート『大事なことに集中する』ダイヤモンド社、2016年 Kindle 位置No.115

シャロー・ワーク:あまり知的思考を必要としない、補助的な仕事で、注意散漫な状態でなされることが多い。こうした作業はあまり新しい価値を生み出さず、誰にでも容易に再現することができる。

Kindle 位置No.169

メールやSNSなどのネットワーク・ツールがディープ・ワークにマイナスの影響を与えていたり、労働文化自体がシャロー・ワークに移っていると指摘しています。そんな中で、ディープ・ワークを優先することの潜在力に気づいている人にとっては大きなチャンスであるとも言っています。

注意残余

ソフィー・ルロアという方の論文から、注意残余と呼ばれるものの影響について紹介しています。注意残余は、タスクAからタスクBに移るとき、人の注意力はすぐにはついてこないで、注意の残余がタスクAについて考え続けることです。これは、複数の作業を同時に行うマルチタスクがディープ・ワークには向いていないということです。

また、短時間のディープ・ワークの間にシャロー・ワークをはさむことも、注意残余という点から見ると効率的ではないことがわかります。

私たちの頭脳は、注意を向けるものに基づいて世界観を組み立てる

あるモノに注意を向けないということは、その人の頭の中でそのモノは存在していないのと同じことです。また、注意を向けたとしても、それがポジティブなものなのかネガティブなものなのかを判断するのはその人次第です。

本書の中では、スタンフォード大学の心理学者であるローラ・カーステンセンの研究が紹介されています。その研究では、fMRIを使ってポジティブなイメージとネガティブなイメージを示すものを見せたときの脳活動について調べており、若年者では両方のイメージに扁桃体が興奮したものの、年配者ではポジティブなイメージだけに扁桃体が興奮したとあります。これについて、年配の被験者は大脳皮質が訓練されて、ネガティブな刺激では扁桃体が抑制されるようになっていると書いています。

これらが学習によって獲得されたものだとすると、ネガティブなものの多くは無視しても何ら問題のないもので、それに注意を向けたり深く考えたりすれば不快になるだけだということがわかります。

ディープ・ワークの利点の1つとして、こうした日々の生活につきものである小さな楽しくない問題に気づかなくさせる効果があると言います。これはミハイ・チクセントミハイの「フロー」状態と関係しており、「人間が最高の状態にあるのは、何かやりがいのあることに深く没頭しているときなのだ」と言います。

気持ちをリラックスさせる休息で、集中力を回復させる

「自然の中を散歩すると集中力が向上する」という研究が紹介されています。そのメカニズムはよくわかりませんが、「自然の中を散策するとき、積極的に何かに注意を向ける必要がなくなるため、集中力を高めることができる」といったことが書かれています。

気持ちをリラックスさせるような休息によって、注意力を方向づける能力を回復させることができるとも書かれています。

前もって予定を立てないと、簡単にシャロー・ワークへとつながる

これは、デスクワークを行っている人なら一度は感じたことがあるのではないかと思います。ある作業が終わった後に「次は何をしようか?」と考えている時間によって注意力が奪われたり、メールやSNS、動画やネットサーフィンという誘惑に負けてしまいます。

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