成功するための2つの必要条件

これまで戦略論や組織論といった経営学の本や、成功した人たちが書いた本などを読んできて気づいたのは「成功している人や企業に共通する具体的な行動は存在しない」ということです。これは、それぞれがおかれている環境が違うということを考えれば当前のことです。

しかし、もう少し視点を引いてみると、共通していることが2つだけ見つかりました。

それは「実行すること」と「継続すること」です。

「当たり前だ」と思われた方も多いと思いますが、現実をみると、この「当たり前」のことができない、あるいはできるのにしない人たちがたくさんいることに気がつきます。もちろんこの2つを行ったからといって成功できる保証などありません。ですが、この2つがなければ成功できないことは明白です。つまり、成功するための必要条件です。

これは経済的な成功だけに当てはまるものではなく、目標があるものすべてに適用することができます。また、これらは精神論ではなく、演繹的に導かれる原則です。

なお、ここでいう「実行」は「外部から観察可能な行動」と定義します。

確率論的視点

「実行しなければ成功はない」ことのわかりやすい例を挙げれば「宝くじは買わなければ当たらない」ということです。宝くじを買わなければ当たる確率はゼロですが、買えば当たる確率はゼロではなくなります。宝くじを推奨しているわけではなく、形式的には同じだということです。

「継続しなければ成功しない」ことにも同じ論理が当てはまります。宝くじを一度買ったときに当たる確率は極めて低いので継続して買うことが必要になりますが、買うのをやめた瞬間に当たる確率はゼロになります。たくさんの成功例の中には、実行した直後に成功をおさめている人もいますが、全体の人数を考えれば極めて稀です。多くの人は実行したことを継続して確率がゼロになることを防ぐことによって、成功しています。マンガ『スラムダンク』の中での安西先生の言葉である「諦めたらそこで試合終了だよ」と同じことです。

ゼロかそれ以外かという確率だけをみれば、宝くじの場合は買い続ければいつかは当たるかもしれません。しかし、実行・継続する内容によって確率が変動する場合には、この限りではありません。目標に対して間違った方法で実行・継続している場合には、確率はゼロのままです。

学習という視点

実行・継続することの最も重要な点は、外部からの反応が得られることです。「こうしたらうまくいった」「これをしたら良くなかった」という経験を通して、人を含む動物は学習していきます。本やインターネットで知識を蓄積していくことも大切なことではありますが、人はそれぞれおかれている環境が異なるので、実際にやってみなければわからないことのほうが多いのです。

この学習するという機能をうまく使っている例としてGoogleが挙げられます。Googleは新しいサービスを次々と展開していますが、消えていったサービスも少なくありません。Googleは基本的に過去のデータによってサービスの良し悪しを判断しますが、前例のないものはデータがないので、とりあえずやってみて反応が悪ければ修正したりサービスを止めたりするということを繰り返しています。こうすることでサービスの質を高めていったり、ユーザーが何を求めているのかを知ることができるのです。

先に触れた「実行・継続する内容によって確率が変動する場合」というのは、多くのものごとに対して当てはまります。目標に対して間違った方法なのかどうかは、実行・継続することによって学習できるものなのです。

心理学的視点

実行・継続すると変わるものは、自分自身とその周りの人たちです。

まず、上述した学習によって、これまで知らなかったものや見えなかったものが見えてきます。これだけでも変化ですが、実際に行動すると、人間の脳はそれを重要なものとして判断します。その行動を継続すればするほど重要度は増していきます。これは、実際に行動することによって時間や労力といった資源を使用するため、無駄なことではないという意味づけがなされるためと考えられています。その行動についての重要度が高まると、それに関する情報に注意が向きやすくなります。こうして新たな情報が得られることで行動が変化し、目標に対しての方向性の精度が高まっていきます(この一連の流れは、プライミングや活性化拡散、スキーマ、認知的不協和などの心理学の概念を使うことでも説明は可能ですが、ここでは省きます)。

自分の行動が変われば、周りの人たちの反応も変わります。例えば、仕事が終わったら家で勉強するという行動を習慣づけたとします。そうなれば、仕事終わりに飲みに行くといった誘いを断ることになります。これが何度か続けば、そのうちに誘わなくなるでしょう。良い悪いは別にして、これも周りの人たちの行動の変化です。

もし、自分がどのような勉強をしているのかを周りの人たちが知っていたとしたら、それについての有益な情報を与えてくれるかもしれません。この情報は、実際に勉強していなければ自分にとって有益であったとは限りません。また、自分で起業しようとしている場合には、周りの人が協力してくれるかもしれませんし、実際に起業して成功している人を紹介してくれるかもしれません。

このように、自分の行動が変わると「自分にとって重要なものが変わる」「周りの人たちの行動も変化する」ことが繰り返されることによって、成功への環境が整っていくことになります。

まとめ

ほぼすべての成功者に共通する点は「実行したこと」と「それを継続したこと」です。

このページを訪れた人の多くが、このような情報を求めているわけではないことは私も認識しております。具体的に何をすればよいのかを求めているのだと思います。ただしこれは、それぞれがおかれている環境やその人の能力が異なるため、万人に当てはまる具体的な行動は存在しません。環境と能力の条件を設定して具体的な行動についての記事を書いたとしても、ごく少数の人にしか適用することができません。世の中を見ると、この具体的な方法を鵜呑みにして、うまくいかない人たちが続出しているようにみえます。

ただ、この記事で大きな枠組みのひとつは提示できたので、今後の中でもう少し枠組みの範囲を狭めた具体的な行動についての記事を書いていきたいと思います。

幸いなことに、「何を実行すればよいのか」の枠組みは戦略論が提示してくれており、「どうすれば継続できるのか」については心理学が提示してくれています。

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