好きなことだけをして生きていく???罰ゲームですか?

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「好きなことだけをして生きていけるのか」という議論はネットで検索するとたくさん出てきます。これはブロガーやYoutuberという言葉が浸透し、社会的にも仕事として認められ始めていることが大きいのだと思います。

似たような議論は昔からあり、例えばスポーツ選手やミュージシャンなどが代表的なものです。ただし多くの場合、スポーツ選手はチームや企業と契約していますし、ミュージシャンも音楽事務所などに所属しています。一方で、ブロガーやYoutuberも事務所に所属している場合もありますが、この場合にも基本的には個人事業主あるいは公開会社ではない(株式を自由に譲渡できない)株式会社の社長として活動しています。つまり、収入の構造が異なるのです。

「好きなことだけをして生きていけるのか」という議論は多くの場合、経済的な面で語られていることが多いと思いますのが、そもそも「好きなことだけをして生きていけるのか」というこの言葉自体にいくつかの問題があるので、まずは何を議論しているのかという問題の定義について書いていきたいと思います。その後で経済的な面について、そして心理的な面についても書いていきたいと思います。

注意:真面目に書いてはいますが、ほとんど屁理屈です。

問題の定義

「好きなこと」は、一般的には個人の好みによって変わるものであり主観的なものです。会社に勤めることが好きで、会社の仕事が好きで、なんの不満もなければ「好きなことだけをして生きている」ことが成立しているので、この議論はすでに答えが出ていることになります。

この問題の場合の「好きなこと」とは、客観的に見たときにこれまでは社会的に仕事として認められていなかったものを指していると思われます。これに加えて、個人的に好きであるということでしょう。

次に、好きなこと「だけ」となっているので、「好きなこと」以外に収入源がある場合は含まれません。ただし、いわゆる「不労所得」の場合は含まれます。

「生きていけるのか」は「生活に困らないだけの最低限の収入が継続して得られるのか」ということになると思います。

まとめると「個人的に好きで、なおかつこれまで社会的に仕事として認められていなかったものを営利を目的とした経済活動とした場合、それだけで生活に困らないだけの最低限の収入(不労所得も含む)が継続して得られるのか」となります。ww

このように定義すれば、答えは比較的簡単に得られます。時代によって仕事の内容が変わるとともに、何が仕事となるのかという人の常識や考え方も変わってきたことを考えれば、答えはすでに出ていますが、一応議論していきます。

経済的な面について

好きなことだけをして生きていく場合の経済的な面を考えた場合、好きなこと自体が収入源となる場合と、好きなこと以外で収入を得る場合とに分けられます。ただし、問題の定義上、好きなこと以外で収入を得る場合は、自分が何もせずに得られるいわゆる不労所得に限られます。

不労所得のシステムを作り上げるには「お金」か「時間」が必要です(この過程が好きなことではない場合は問題の定義から外れることになりますが、話を進めます)。例えば、株式を取得して配当所得だけで生きていくには元手が必要ですし、誰かを雇って仕事をしてもらうにしてもお金が必要になります。その期間中の収入をどうするのか、そのお金は一体どこから出てくるのか、この二つを考えるだけでもかなり難しいことがわかります。繰り返しになりますが、問題の定義上好きなこと「だけ」しかできないわけですから。ww

お金か時間が必要になるのは不労所得だけに限った話ではありません。ブログやYoutubeだけで生きていくには、コンテンツを作り増やしていく時間が必要ですし、ファンが増えて人気が出るまでの時間も必要です。また、何らかの物を作って売る場合にも設備などの初期投資が必要になります。こちらも上記で示した二つの問題を抱えることになります。

この議論は、無一文からスタートし、好きなことで収入を得るには時間がかかることを前提としているので、現実的ではないかもしれません。ただ、多くの人はこれに近い制約を抱えているのではないかと思います。お金も時間もたっぷりあるなら「好きなことだけをして生きていく」ことをすでに満たしているでしょうから。

上の議論をもう少し突き詰めていくと、例えばお金の管理が好きなことではない場合はどうすればよいでしょう。放置していればおそらく破産するでしょう。解決策は一つだけで、他人に任せることです。他人に任せるにはお金がかかります。帳簿付けはどうしましょう。他人にませましょう。お金がかかります。車の運転はどうしましょう。他人に任せましょう。お金がかかります。・・・お金がかかります。・・・お金がかかります。

心理的な面について

「好きなこと」を文字通りの意味として解釈した場合、心理学的にみると、好きなことは行動した結果に得られるものです。つまり、好きかどうかわからないことをやってみた結果として好きか嫌いかが決まるので、「好きなことだけ」という制約を設けると行動できないということになります。ww

この問題は、時間的に区切ることによって回避されます。「来年から好きなことだけをして生きていくぞ」ということです。また、好き嫌いは類似のものにも転移するので、行動できる幅はかなり広がります。

次は別の視点で見ていきます。好きなことは未来永劫変わらないというわけではありません。好きだったものが嫌いになることもあります。そのひとつの例が「報酬による意欲の低下」です。

好きなこととは、それをすること自体が好きということで、その作業をすること自体が報酬となります。しかし、好きなことで収入を得るようになると、その収入が報酬として認識されるようになります。その後、その報酬(収入)が得られなくなったり低下してしまうと、作業自体への意欲が低下するというのが報酬による意欲の低下で、アンダーマイニング効果とも呼ばれています。つまり、好きでしていた作業が、いつのまにか収入を得るための作業になってしまうということです。

これは結果的には認識の問題になるため、回避できないわけではないです。ただし、このような現象があるということを理解しておかないと、自分で自分の首を締めることになりかねません。

逆説的ではありますが「好きなことを仕事にすると、好きなことではなくなる」可能性もあるのです。

子供の頃に見たドラマのセリフで「好きなことは仕事にしないほうがいいのかもしれない」(正確なセリフは覚えていません)というのを今でも覚えていますが、これには、会社に入ると自分の意思だけでは行動できなくなること以外にも、好きなことで収入を得ることによって、好きなことが好きではなくなるという意味も込められていたのかもしれません。

あとがき

ここまで読まれた方ならばお気づきだと思いますが、「好きなことだけ」の「だけ」に重点を置いた(結果的にそうなってしまった)記事です。好きなことだけしかできないって罰ゲームみたいなものです。1日の中でごく限られた時間しか好きなことができないほうが、むしろ健康的なのではないかと最近よく思います。

心理的な面については、この議論においては見たことのない記事になったと思っているので、個人的には満足しています。経済的な面については、もっと書くべきことがあったなぁと反省しています。ww

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